褒めて伸ばすタイプ。

大学生が音楽、笑い、カルチャーなどおもしろそうなことについてお話します。(ドヤア

ROCK IN JAPAN2013 1日目の感想

8月2日~4日に、毎年恒例ROCK IN JAPAN2013が開催されました。

私は初日、2日目に参戦しました。 いやあ、初の複数日参戦だったのですが、非常に楽しかった。なんだかんだ言って、10年以上続いてきているだけあって、色んな点で成熟しているフェスだと思います。

ということで、それぞれの日に観たアーティストの感想をつらつらと述べていきたいと思っております。

 

■8/2

・OKAMOTO’S

Sound of forestのトップバッターはOKAMOTO’S。今年出たアルバムが良くて、また5月に行ったMETROCKでの演奏も良かったので観に行きました。ちなみにサウンドチェックできゃりーの「にんじゃりばんばん」をサービスで演っていたのですが、ボーカルのあっけらかんとした歌い方にマッチしていてめっちゃよかったっす。ただ、ライブ中、もうちょっと観客が盛り上がっていてもいいような気がしました。最近の人気バンドには珍しく洋楽的バックボーンが分かり易く見えること、曲がタテノリ(四つ打ちなど)ではなく横揺れ的であることなどが原因な気がします。2日間行って思ったことは、観客の聴き方があまりにもワンパターンすぎるんじゃないか、ということでした。この話は今度ゆっくりしたいと思っています。いずれにせよ、個人的にはやっぱ好きだな、と感じたのでワンマンも行きたいなと思っています。

 

グッドモーニングアメリカ

今回のCDショップ大賞にもノミネートされたグドモ。苦労人らしく、やっとのブレイクという感じのバンドのようですが、フォレストに結構客が集まってて、ギターの人がMCで熱い話をしていたのが印象的でした。ただ、正直個人的にはアルバムを聴いていたときから感じていた今一歩物足りない感じをより強く思ってしまいました。盛り上がる曲が多いのですが、イントロが流れた瞬間に客がグワーっと盛り上がるようないわゆる「アンセム」がいまだに無いのは厳しいかなと。ボーカルの声もライブで聴くと無理して出してる感を感じてしまいました。音楽的に特別新しいことをしているわけではないので、近いうちにとびぬけた曲を出せないと、人気も尻すぼみになっていてしまうかも、という感じ。

 

・ふくろうず

一番小さいWING TENTで観たのですが、それでも観客が少なくてちょっと切ない気持ちに。でもライブはとてもよかったです。ギター、ベース、ドラム、シンセの音それぞれはシンプルな音を出すのですが、それが合わさった時の鋭い音はとても気持ちが良い。さらにニューアルバムの曲はそれにキャッチーさも加わって、いよいよ売れていいんじゃないでしょうか。ボーカルの内田万里がちょっと不思議ちゃん入っててかわいいのもよし。3年、いや5年後くらいにいい感じのポジションにいるのではないかと期待したいです。それまでに解散しないかが心配だけど。

・Charisma.com

今年デビューしたてのCharisma.com(カリスマドットコム)。DJブースでの出演です。中2病こじらせたハルカリという感じのたたずまいで、ポップなトラックに世の中なめんな、という歌詞を載せた曲は意外と最近いないタイプのアーティストか。MCがサブカル感、DJがメンヘラっぽく見える、いや見せているようなのがしっかり戦略を持ってやっている感じがします。とはいえまだデビューしたてで見せかたの部分が改善の余地があると思いました。一番は曲間の処理。一応DJがいるアーティストなのだから、曲が終わったら無音が入っちゃうのはまずいと思います。前の曲の終わりから、次の曲へのつなぎの気持ち良さがDJの勝負の見せどころなわけで。その辺は今後場数を踏んでいく中でうまくなっていってほしいところです。

 

・UNISON SQUARE GARDEN

最新のアルバム『CIDER ROAD』がヘビロテなので、観に行ったユニゾン。なにが驚いたかってスリーピースなんですね。スリーピースとは思えない音の厚さ。そしてとにかくメロディがポップ。こういうアニソンっぽさを感じさせるポップなロックバンド(実際ユニゾンもアニソン提供曲が多い)は、ちゃんと評価されづらいという印象ですが、LAKE STAGEを一杯にしていてさすがという感じ。

 

・ZAZEN BOYZ

今まで都合が合わずライブを観ることが出来なかったザゼンをついに観てきましたよ。噂に違わぬ演奏に圧倒されました。とにかく演奏技術が鬼。私は素人なので詳しいことは言えませんが、変拍子だらけの曲なのに、完璧にリズムが合っていて、聴いてて段々笑ってきちゃうくらいです。最初にヴァンヘイレンのジャンプをちょっと演奏したのですが、それもなんなら本家よりリズムが完璧なんじゃないかってくらい。35分のライブ中、静と動を尋常じゃない速さで切り替えながら、じわじわと盛り上がりを作っていく様は、プロフェッショナルと言う言葉がぴったりでした。いやあ、ほんとすごかった。

 

・the Flickers

ちょっと時間に余裕があったので、当初は観る予定の無かったフリッカーズを。打ち込みが入ったロック、というのは最近の邦楽界では無数にいるタイプであり、だからこそ差別化が必要なのですが、正直そこまで個性を感じなかったかなと。ボーカルの声がボコーダーの相性が良さそうなので、そこをもっと生かせばいいかなと思ったのですが、するとアヴェンズっぽくなってしまうかもと思いながら。

 

フジファブリック

3人体制になって3年半が経つということに驚き。最近出たアルバム『VOYAGER』が良かったので、そこからの曲を聴きたいと思ったし、実際その曲がすごいよかったのだけど、観客が盛り上がってたのは結局「夜明けのBEAT」とか「銀河」だったのがなんかなあ。確かに名曲なんだし、フェスはライトファンが多いから仕方ない部分はあるけれど、そもそも最近の曲を聴いていなさそうだったのが寂しい気持ちになりました。バンド自体が次に進もうとしているのにリスナーがそれについていけてない感じ。昔のフジファはきっちり作られた曲の上にちょっともたれた感じの志村さんのボーカルが載っていたのに対し、今はきっちりした曲の上に同じく山内さんのきっちりした声が載っているという感じか。最近の曲もいい曲だよ!

 

サカナクション

GLASS STAGEトリはサカナクション。本気出してきた感。多分ワンマンを1時間に凝縮したのでは、という構成。バンドスタイルとパソコンの前に5人が並ぶクラフトワーク的スタイルを手品のように繰り返しながら、とにかく客を踊らせ続ける。また、音源の通りに演奏するのではなく、前後のつながりを考えてがっつりアレンジしている手の込みようは、個人的にはサザンのライブ以来の驚き。名実ともに今の邦楽界の中心にいるバンドだということをまざまざと見せつけられました。いやあ、いいもん観た。

 

ということで初日は終了。その後、近くのキャンプ場でテントを張り就寝。2日目に完全に足腰に筋肉痛を抱えることとなるのですが、2日目については次の記事で。

Real Soundはナタリーのカウンターなりうるか。

7月22日、総合音楽情報サイト「Real Sound」がスタートしましたね。

 

「Real Sound」(リアルサウンド)は、"ホンネで音楽を楽しむ"リスナーに向けた、新しいタイプの総合音楽情報サイトです。(中略)音楽を楽しむツールや方法が多様化する中で、音楽メディアも新しいカタチで情報発信すべきではないだろうか。「Real Sound」はそう考え、従来の音楽系メディアに多い"提灯持ち"風の記事ではない、フェアな批評性を備えたコンテンツづくりを目指しています。

 

という風にサイトでは説明が書いてあります。実際、提供されている記事は、CDレビューの他、チャート分析、フェス分析など「分析、批評」的な要素が多めです。「新しいタイプ」と言っていますが、正直新しい感じはしませんが、要は「ナタリー」に対するカウンターだよ、という宣言なのではないか、と思っています。ということで、ナタリーとの比較をしながら、現在のネット上の音楽ポータルサイトについて考えてみたいと思います。

 

 

・ナタリーの「解釈の放棄」

2007年にスタートしたナタリー、現在では音楽、コミック、お笑いの3つのニュースサイトを提供しています。ナタリーが注目されたきっかけの一つとして、Perfume関連における完全に「ファン目線」の記事です。例えばこの記事とか。

異常なまでの情報量の記事に、当時ネット上のPerfumeファンがナタリーにPerfume関連の記事が上がる度に「ナタリーキモい」とコメントすることがお約束になっていたのを覚えています。ナタリーの記事には基本的に批評性はなく、とにかく事実を詳細に記述しているというのが特徴と言えます。アーティストのインタビューも実は充実しているのですが、それよりも、とにかく事実の列挙。このナタリーのあり方は、SNSとの親和性が高いと言えます。情報過多な中、情報だけ欲しい、というユーザーにとって、よく知らないライターの解釈よりも、事実が得たいのではないでしょうか。実際、Twitterに登録したときのおすすめアカウントにナタリーが載っているように、Twitterを最も有効活用しているのはナタリーと言えます。

 

・ナタリーのカウンター+サイゾー的なアングラ感

それに対して今回のReal Sound。先に書いたように、批評的な要素が強めです。また、インタビューは少なめです(7月25日時点で1本のみ)。新譜情報もなく、発売された作品のレビューや、ライター独自の視点の批評記事がメインです。これはナタリーの真逆を行っているように見えます。このプロデューサー論とか、面白い。

また、このサイトの運営はサイゾーであり、サイゾー的な何とも言えないアングラ感、悪く言うと下世話感も出ています。 この記事とか「矢口の隠れビッチキャラ」とか、しょーもない記事だけど、まあサイゾー的と言えば納得もできる感じですね。

また、記事がリリースされてから、それに対する異論反論がネット上で見られるのもナタリーとは違うところ。その記事自体の質が低い場合もありますが、少なくとも、議論を呼ぶ=ライター独自の視点で記事が書かれている、というのは「ジャーナリズムとしての音楽評論」のサイトとしては正しいあり方ではないかと。

いずれにせよ、まだ記事も玉石混交という感じではありますが、こういう音楽サイトが出てきたというのは、興味深い流れだな、と思っております。

勝者の性善説について。

サザンネタは今週はお休みします。びっくりするくらい反応が無いので笑。やっぱ同世代は根本的にサザンに興味がないのかなと思ったり。あと私の話が長すぎるという。

 

で、今日はみなさん大好きアイドルの話から始まります。

最近Twitterとかで連呼している通り、今回のAKBの新曲が個人的にめっちゃ好きです。

(この動画、大人の悪ふざけかんマックスで嫌いじゃないです)

 

個人的に今までのAKBのシングルの中で一番好きです。(編曲者が誰か気になっているんですが、まだ発表されていない)

何故好きかと言うと、まずはもちろん単純に曲が良い、というのがあります。今回の曲は完全にフィラデルフィアソウル、70年代のディスコサウンドが元ネタです。こういう感じの曲。

 

個人的にこの辺のジャンルが大好物なので、今回の曲は当然大好きなわけです。特にサビ前のメロディの高揚感は最高。

で、もう一つポイントとしては、こういう曲をシングルでAKBが出した、という事実が最高だと思うわけです。 アイドル、っていうエンタメにおいて、アイドルソングを中心にして、アイドルファンと曲の作り手の間にはズレが起きていると思っています。アイドルファン、アイドルソングファンではなく純粋なアイドルファンにとって、曲はあくまでも自分とアイドルを繋ぐメディア、手段でしかないわけです。握手するための、ライブで応援、MIXを打つための。語弊があるかもしれませんが、アイドルファンにとって曲のクオリティ自体は対して重要ではないのです。要はMIXが打ててテンションが上がる曲であるかどうかが重要なのです。 でもそれに対して、志のある作り手はそういう環境に妥協せず、最高の曲を提供するわけです。それが最近Perfumeももクロのヒットで広く認識されたのが最近のアイドルソング界であって。アイドルソングの役割として、コアリスナーではない人にいかに良い音楽を伝えていくか、っていうのは昔からあったんだと思います。

 

でも、それってともするとアイドルファンから駄曲認定されてしまう可能性もあるわけです。そこの距離感を調整しながら、クオリティーの高い曲を提要するのが面白さなわけで。

で、そういうことって勝者がすべきことなわけだと思うのです。

毎曲ミリオン売れるAKBのシングルにおいて、「駄曲出しても売れる」という批判もあるけれども、逆に言うと、どんな曲でも聴いてくれるというチャンスなわけです。 今回はAKBのシングル、しかも総選挙の曲なわけで、すでにたくさんのメディアで流れまくっているわけです。そこで、今回のような「新しい音楽との出会いを生み出すかもしれない曲」を発表するのは素晴らしいことだと思うのです。

これは売出し中のアイドルには必ずしも出来るとは限らないことだと思います。売れなきゃ始まらない状況では、まずはアイドルファンに受け入れてもらうために様式美的な曲を求められることが多いと思います。

「勝者の余裕」と言うように、トップを走っているからこそ出来る「攻め方」があると思うのです。今回のAKBの曲にはその勝者ならではの攻めを感じたので、最高なわけです。

 

こういうことはアイドル、さらには音楽だけに限ったことではないと思います。 社会においても、良い変化は2種類あると考えています。一つは革命方式。弱者だったものがアイデアによって一気に社会を変えるパターン。もう1つは勝者による変化。トップに立っているからこそ、そこから変えていく。本来当たり前な変化だと思うんですけど、基本トップに立つ人はそれだけ批判も受けるし、時折起こる悪い変化ばかり取り上げられるので(実際多いのかもしれないけども)、忘れられがちだけど、この変化の方が容易なはずです。弱者の起こす革命は時折、グレーな方法を取らざるを得ないこともあると思います。ただ、だからこそ、勝者になった暁には、性善説的に振る舞うべきなんじゃないかな、と思います。これを個人的に「勝者性善説」と唱えていたりします笑。

そんなことを、選挙に行った帰り道に考えました。