褒めて伸ばすタイプ。

大学生が音楽、笑い、カルチャーなどおもしろそうなことについてお話します。(ドヤア

Real Soundはナタリーのカウンターなりうるか。

7月22日、総合音楽情報サイト「Real Sound」がスタートしましたね。

 

「Real Sound」(リアルサウンド)は、"ホンネで音楽を楽しむ"リスナーに向けた、新しいタイプの総合音楽情報サイトです。(中略)音楽を楽しむツールや方法が多様化する中で、音楽メディアも新しいカタチで情報発信すべきではないだろうか。「Real Sound」はそう考え、従来の音楽系メディアに多い"提灯持ち"風の記事ではない、フェアな批評性を備えたコンテンツづくりを目指しています。

 

という風にサイトでは説明が書いてあります。実際、提供されている記事は、CDレビューの他、チャート分析、フェス分析など「分析、批評」的な要素が多めです。「新しいタイプ」と言っていますが、正直新しい感じはしませんが、要は「ナタリー」に対するカウンターだよ、という宣言なのではないか、と思っています。ということで、ナタリーとの比較をしながら、現在のネット上の音楽ポータルサイトについて考えてみたいと思います。

 

 

・ナタリーの「解釈の放棄」

2007年にスタートしたナタリー、現在では音楽、コミック、お笑いの3つのニュースサイトを提供しています。ナタリーが注目されたきっかけの一つとして、Perfume関連における完全に「ファン目線」の記事です。例えばこの記事とか。

異常なまでの情報量の記事に、当時ネット上のPerfumeファンがナタリーにPerfume関連の記事が上がる度に「ナタリーキモい」とコメントすることがお約束になっていたのを覚えています。ナタリーの記事には基本的に批評性はなく、とにかく事実を詳細に記述しているというのが特徴と言えます。アーティストのインタビューも実は充実しているのですが、それよりも、とにかく事実の列挙。このナタリーのあり方は、SNSとの親和性が高いと言えます。情報過多な中、情報だけ欲しい、というユーザーにとって、よく知らないライターの解釈よりも、事実が得たいのではないでしょうか。実際、Twitterに登録したときのおすすめアカウントにナタリーが載っているように、Twitterを最も有効活用しているのはナタリーと言えます。

 

・ナタリーのカウンター+サイゾー的なアングラ感

それに対して今回のReal Sound。先に書いたように、批評的な要素が強めです。また、インタビューは少なめです(7月25日時点で1本のみ)。新譜情報もなく、発売された作品のレビューや、ライター独自の視点の批評記事がメインです。これはナタリーの真逆を行っているように見えます。このプロデューサー論とか、面白い。

また、このサイトの運営はサイゾーであり、サイゾー的な何とも言えないアングラ感、悪く言うと下世話感も出ています。 この記事とか「矢口の隠れビッチキャラ」とか、しょーもない記事だけど、まあサイゾー的と言えば納得もできる感じですね。

また、記事がリリースされてから、それに対する異論反論がネット上で見られるのもナタリーとは違うところ。その記事自体の質が低い場合もありますが、少なくとも、議論を呼ぶ=ライター独自の視点で記事が書かれている、というのは「ジャーナリズムとしての音楽評論」のサイトとしては正しいあり方ではないかと。

いずれにせよ、まだ記事も玉石混交という感じではありますが、こういう音楽サイトが出てきたというのは、興味深い流れだな、と思っております。