褒めて伸ばすタイプ。

大学生が音楽、笑い、カルチャーなどおもしろそうなことについてお話します。(ドヤア

今からでも間に合うアイドルソング入門 その2、アイドルソングを聴くべき2つの理由。

前回の記事は本来まえがきくらいのニュアンスのはずが長くなってしまったので、今回からアイドルソングの魅力についてのお話しです。

本ブログの目的としては、今まで興味の無かった層に興味をもってもらいたい、ということがあるので、なるべく「アイドルソングとかよく知らない」という人にも伝わるような書き方を心がけたいと思っている今日この頃。

 

■完成度の中のほつれ

アイドルソングの魅力について考える上で、一番大事な考え方として、「完成度の中のほつれ」という考え方があります。これは元ピチカートファイブ小西康陽氏が提唱し、最近ではアイドル批評で名高いライムスターの宇多丸氏がこの論に沿ってアイドル批評をしていることで有名になりました。「ほつれ」とは、縫い物などの縫い目、編み目がほどけていることを指します。要は、アイドルソングの魅力は、アイドルの周りにいるプロデューサーなどの「オトナ」達がクオリティの高いものを提供している中に、アーティストではない、不完全なアイドルたちが入ることで、完成度の高い中ものが微妙に崩れている部分にあるということです。アイドルとアーティストの一番の違いは「スキル」だと思っています。アイドルは音楽的に完璧ではありません。歌が残念だったり、ダンスがヘタだったり、そういうダメな部分を持ち、だからこそ、それがアイドルの魅力となっています。「駄目な子ほどかわいい」という言葉もあるくらいで、こういうものを好む文化は日本的なのかもしれません。「萌え」の文化がしばしばロリコン的であるのも不完全な存在としての子供という点では同様だと思います。

例えば、これ、惜しまれつつ散開(要は解散)した「向上心の無いアイドル」ことTomato n' Pine(トマトゥンパイン)の「キャプテンは君だ!」

めっちゃいい曲じゃないすか?そこに明らかに声量が足りない感じの歌声が入ることによって「アイドルソング」でしか出し得ない魅力が表れるわけです。ちなみにライブ映像を観るともっとほつれております(笑)。この辺のどこまでのほつれが許せるか、というのは個人の好みの問題だとは思います。

 

ロック系だと、これとか。最近ブレイク中の「ももち」こと嗣永桃子が所属するハロプロ系ユニットBuono!の「初恋サイダー

この辺のロック+アイドル系はZONE→SCANDALの流れがあった通り、昔からニーズはあったんだと思うんですけどね。Buono!も最近活動していないようなので、ここの席に誰が座るのかが興味あったりして。

 

AKBはどうなの?と言われると、この辺とか。AKB48チームAの「胡桃とダイアローグ」

尋常じゃないカッコよさだと思うんですけどどうすかね。NMB48の「絶滅黒髪少女」もベースラインとか、それに対するコーラスとか面白すぎる。

大人が本気を出している曲に、頑張ってはいるけれど、スキルが足りていないアイドルが歌うということにより、アイドルソングでしか生まれない絶妙な魅力が生まれているわけです。 まあ、ほつれってそこの部分はクオリティが低いんじゃないの?と言われるとそうなんですが、そこを面白がれたら、もっと音楽の楽しみ方が広がりませんか?っていう提案なわけです。 ほつれが少ないところで言うと、Perfumeとか、東京女子流がありますね。

 

Perfumeはアイドルじゃないのでは、という議論が最近ありますが、個人的にはアイドルだと思っています。ほつれの部分が音楽面にはないというだけで、MCなどはほつれっぱなしです。Perfumeの話は長くなるのでまた今度。

個人的には、ここのほつれをどの程度面白がれるか、という部分がアイドルソングを楽しめるかのポイントかなとも思います。ただし、この感性はある程度日本人には共通するものなのかな、とも思います。

 

■すべてのジャンルを飲み込むアイドルソング

ロック、ヒップホップ、ポップス、R&Bなど、音楽には様々なジャンルがあるけれど、結局それぞれ明確な分かれ目は無いと思っています。ロックの定義とか人によって様々だしね。ジャンル分けって、音楽の好みに特定の傾向があるときに、それをジャンルとしてラベリングすることで、似たような音楽を見つけやすくなる、というくらいの目的だと思います。Youtubeの中の人が、関連動画の部分(再生中の右の部分)に何を載せるか、という時に役立つというレベルの話だと思います。ロックが好きだからR&Bは聴かないという考え方あまりにももったいないし、本質的ではない。ジャンルなんて参考程度でしかないと思います。

 

その点アイドルソングってすごいよな。チョコたっぷりだもん。

 

思わずトッポのように言ってしまいましたけど、アイドルソングは音楽的傾向によって定義されません。アイドルが歌えばすべてアイドルソングなわけです。だからこそ、予期せぬ出会いがある。今までロックが好きだと思ってたけど、意外とR&Bも好きかも、ヒップホップも面白いかも。という出会いはアイドルソングというくくりで音楽を受容していると生まれやすいのです。ロックやポップスという区切りを横の区切りというとすれば、アイドルソングというくくりは縦の区切りなのです。

 

例えばBiSの「PPCC」はパンクだし、BABYMETALはその名の通りメタルだし、リリカルスクールはヒップホップだけど、全部アイドルソングなんです。

 

このジャンルレスな構造は、特定のジャンルのリスナーにとってのアイドルソング自体への入り口にもなるし、アイドルソングから別のジャンルへの入り口にもなるのです。アイドルソングはジャンルとジャンルの橋渡しとしての役割を持ちうるわけです。

 

ということで、結論ですが、まず、アイドルソングの魅力は、その楽曲の完成度の高さと、それをアイドルが歌うことによるほつれを楽しむ、というところにあります。また、アイドルソングに興味を持つことは、すなわち音楽そのものの興味のすそ野を広げることにもなるわけです。しかもアイドルソングはその道の第一人者が曲を作っていることが多く、クオリティも間違いない。 つまり、音楽が好きなら、アイドルソングを聴かないとは何事か、というわけです。

 

このオチ、今後テンプレに出来そうな気がします。○○しないとは何事かシリーズ。

いずれにせよ、ここで紹介したアイドルの中でどれか一組にでも興味をもってくれたら嬉しいですね。 ということで、今日はこれで。